5.防御系の理解

未来型の医学と新しい可能性〈5〉 防御系の理解

未来型の医学と新しい可能性〈5

防御系の理解

安保徹

 

単細胞生物であれば、栄養の摂取もからだの移動も危険からの防御もすべて一つの細胞で行っています。多細胞生物では、これらの機能の分担化が生まれ、効率を高めています。栄養の摂取とその処理は、それぞれ腸上皮細胞と肝細胞が特殊化しこれらの仕事に専念したわけです。肝臓は腸から派生した臓器なので腸上皮細胞も肝細胞も起源は同じで、今でも再生を繰り返している内胚葉細胞です。肝臓移植が部分切除でできるのも再生する能力があるからです。

多細胞生物のからだの移動は筋細胞の分化によって得られ、筋肉を使うことで行われています。筋、関節、骨は中胚葉の組織としての共通した起源を持ちます。筋肉が衰えると骨の丈夫さが失われるのはこのような共通性からきています。危険からの防御、特に外来の遺物や微生物からの防御は多細胞生物の場合は白血球が行っています。他のからだの構成細胞は全て特殊化によって分化が進んでしまっています。この特殊化の流れを止めて防御に専念したのが白血球です。白血球の基本はマクロファージです。

このような基本的な理解があると防御系の大切さや特殊性が見えてくるのではないでしょうか。もし進化した私たち人間に単細胞生物時代の生き残りを探そうとすると、たどり着くのは白血球であり、その基本型のマクロファージということです。もし、私の免疫学や、医学に、他にない特徴があるとすれば、このような理解の元に防御系(defense system)をとらえたことではないかと思います。

1 防御系の進化

防御系の基本を成す細胞がマクロファージであり、多くの下等な多細胞生物はこの細胞一種類で防御が行われています。マクロファージは単細胞生物時代の生き残りとして存在していて、今でも私たちの体を守っているわけです。多細胞生物のからだの構成細胞は特殊化の流れに入ったので、単細胞生物の生き残りがそのまま変化せず身を守ったということです。

マクロファージは防御系として働くだけではなく外胚葉や内胚葉系以外の細胞の基となっています。言い換えると、中胚葉や間胚葉の細胞を作る幹細胞(分化細胞のもととなる母細胞の総称)としての能力も備えているのです。間葉系の幹細胞もマクロファージが起源となっているのです。例えば、組織球、線維芽細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞、筋細胞、軟骨細胞、骨細胞が仲間です。

マクロファージは単細胞時代の生き残りなので、栄養処理、防御、運動、修復機能があり、この流れで生まれた間葉系の細胞がそれぞれ、脂肪細胞、マクロファージ、筋細胞、繊維牙細胞というわけです。こうして見ると、マクロファージや間葉系幹細胞の起源が明確になってくるのではないかと思います。栄養処理細胞の一部は単に栄養を蓄えるのではなく、子孫を残すための生殖細胞も作りだしています。これもマクロファージがら派生しています。今注目されている万能細胞もマクロファージと同様に全身に分布した間葉系幹細胞なのです。

生物進化の流れの中で、マクロファージが長く防御系の主体を占めていたわけですが、リゾチームのような加水分化酵素は他の多くの細胞の細胞質にも存在し、個別の防御もなされていたのです。しかし、進化が進むとさらにマクロファージによる防御の比重が高まり、リゾチームを保有する細胞も減少してゆきます。脊椎動物のように活動が高度になると防御系もそれとともに進化し、顆粒球やリンパ球のような新しい防御細胞がマクロファージから派生しているわけです。

マクロファージが呑食機能を高め、細菌処理に能力を発揮していったのが顆粒球です。化膿性の炎症を起こして治癒に至る系です。一方、マクロファージの呑食能を退化させ、微小抗原処理に能力を発揮していったのがリンパ球です。マクロファージが炎症部位に留まるとき使っていた接着分子を発展させ、抗体にたどり着いたのです。接着分子(抗体)によってウイルスや異種蛋白などを凝集させて無害化するというのがその流れです。

抗体はイムノグロブリンと呼ばれ、血漿中のガンマ・グロブリン分画に存在します。このイムノグロブリンはアミノ酸約100個から成る基本単位(ドメイン)構造は、他にもT細胞レセプター(TCR),主要組織適合抗原(MHC)CD3、CD4、CD8、などの免疫分子群にも使われています。つまり、免疫系は接着分子のうちドメイン構造を持つイムノグロブリン遺伝子スーパーファミリーとして進化したわけです。接着分子に異物が付着したときそれが生体に不要のものであれば凝集させたり、キラー分子を出してその付着自己細胞を壊すというのが免疫系だったと言えます。

ここで少し整理してみると、防御系は、マクロファージと顆粒球の二つのラインが貪食能によって主に細菌処理するシステムと、マクロファージから派生したリンパ球が抗体を使って微小抗原処理するシステムの二つから成っていることがわかります。マクロファージ、顆粒球、リンパ球はまとめて白血球と呼ばれ全体で私たちの防御システムを構成しているのです。狭い意味での免疫系はリンパ球の働きを指していますが、免疫力イコール生きる力という使い方をするならば、免疫力、生きる力という使い方をするならば、免疫力、生きる力の全体の働きは白血球全体の力なのです。

2.白血球の種類と働き

白血球の基本であるマクロファージは全身に分布し、その場所によって多少の形態の違いが認められます(図)。脳に分布したマクロファージはグリア細胞と呼ばれています。防御の機能の他、まわりの神経細胞を支えたり、神経細胞に栄養を送っています。クッパー細胞は肝臓に分布したマクロファージです。腸から始まって、門脈(脾臓・消化器からの血液を集めて肝臓に運ぶ静脈)からくる異物を捕獲して処理しています。グリア細胞もクッパー細胞も他の組織に分布するマクロファージも間葉系の幹細胞から直接その局所で作られています。

肺に存在するマクロファージが肺胞マクロファージです。この細胞は高濃度の酸素の状況で機能を維持しています。肺胞マクロファージによって取り込まれた異物は、細胞ごと痰として体外に排泄されています。タバコを吸う人の肺胞マクロファージはいつもタール物質を貪食した状態で存在し、肺全体も黒い外観を呈しています。血液中を循環しているマクロファージが単球です。単球は毛細血管を通過しやすいようにやや小型で球状をしています。マクロファージのうち単球だけは骨髄で作られています。

組織に広く分布しているマクロファージが組織球です。からだに侵入した異物と戦う他、栄養が多い時は脂肪細胞にスイッチしています。傷口の修復には組織球の最初の働きがあって、そこから繊維芽細胞の遊走などの指令が出されています。皮膚に存在するランゲルハンス細胞もマクロファージを起源としています。皮膚は直接外界と接する部位なのでランゲルハンス細胞の役割は重要です。最後の破骨細胞もマクロファージ起源です。成長過程で不要となった骨を貪食して処理しています。成長が終わっても骨の新陳代謝に関与しています。マクロファージが数個融合してできているので多核細胞となっています。

マクロファージから進化で派生した顆粒球もリンパ球も、その働きの開始や終止はマクロファージの調節下におかれているようです。からだの中に細菌や真菌が侵入してきたときは、マクロファージの指令の元で顆粒球が誘導されます。この場合は顆粒球と菌が戦って化膿性の炎症を起こして治癒に入るわけです。炎症巣の最後の修復は再びマクロファージの仕事です。

からだの中に微小抗原、例えばウイルスや異種蛋白などが侵入してきたときはマクロファージの指令でリンパ球が誘導されます。リンパ球の場合はクローンを拡大するために分裂が必要です。このため、風邪などのときに潜伏期間を持って免疫反応が開始されます。このクローンの拡大、つまりリンパ球の分裂過程にもマクロファージが関与しています。リンパ球のうちT細胞は直接に抗原と反応しますが、B細胞は抗体を作って抗原と反応します。

このようにして微小抗原は凝集や溶解によって無毒化され免疫反応は終わるわけですが、この収束や免疫反応で起った組織修復にもマクロファージが関与しています。派生した細胞の調節は元のマクロファージによってなされているということです。このように多彩なマクロファージの働きを知ると防御の基本はマクロファージであるという実感が湧いてくるでしょう。つまり、単細胞時代の生き残り細胞が私たちを守っているわけです。

マクロファージは栄養処理なども行っていますから、病気から身を守るとき、たくさんからだに栄養を入れてこのマクロファージに負担をかけるというのは間違っています。病気の時、風邪の時、色々な場面で私たちは食欲を失いますが、マクロファージを防御に専念させるためのからだの反応を理解しましょう。病気のとき、点滴や管で無理やり栄養を入れることの危険がわかると思います。

3. ストレスと白血球の過剰反応

私たちが環境の過酷さや生き方の無理で苦しんでいるときは、細胞の基本であるマクロファージも共に苦しんでいるという理解が必要です。このような理解があるといろいろな病態の謎が見えてくるのです。激しいストレスによって私たちが苦しんでいるとき、マクロファージの活性化も極限に達します。このような流れで起るのが、マクロファージによる血球貪食症です。血球貪食症は現代医学では原因不明にされていますが、活性化極限のストレス病なのです。SLE(全身性ループす病)や白血病でも血球貪食症を伴うことがありますが、これはSLEや白血病がストレスで発症していることを意味しています。

クローン病では小腸においてマクロファージの活性化が起り肉芽腫(肉芽組織から成る炎症性の腫瘍・腫粒)(granuloma)を形成してきます。これもマクロファージの過剰反応でストレスから始まっています。若者や大人が学校や会社で激しいストレスを受けると腸が交感神経刺激を受け、そこに依存するレジデントマクロファージが活性化して肉芽腫が形成されているわけです。このことからも、クローン病の治療はストレスを除き、身体を温めて交感神経緊張状態から脱却することだと理解できることでしょう。ペンタサやステロイドのような消炎剤は交感神経緊張や血流障害を助長するので、患者は治る機会を失ってしまうことになります。

マクロファージと血管内皮細胞は進化レベルが近く、どちらも古い間葉系の細胞同士です。マクロファージから進化した血球を効率よく循環させるために、自らも管になったというのが血管内細胞の成り立ちです。このため私たちが強いストレスを受けたとき、マクロファージの活性化だけでなく血管内皮細胞の活性化が起ることがあります。これが血管炎なのです。血管炎は自己免疫疾患でもアレルギー炎症でも起ります。SLEでの血管炎、川崎病、花粉アレルギーでも血管炎がこのようにして起っているわけです。

原虫のような感染の歴史が古いものは、マクロファージによって処理される傾向があります。マラリア原虫もリシュマニア原虫もその防御はマクロファージが中心になっています。しかし、細菌や真菌処理の多くは顆粒球の処理によって行われ、化膿性の炎症を起こして治癒に至ります。感染の歴史が新しいものは進化レベルの高い白血球によって処理されるということでしょう。

ウイルスや異種蛋白のような微小抗原はリンパ球の免疫力(抗体)によって処理されます。二度とかかり無しの免疫が成立したり、アレルギーとして免疫が残るわけです。これも歴史の新しい感染症は進化した免疫系によって処理されるという法則によるものでしょう。しかし、ウイルスや異種蛋白などの微小抗原はマクロファージのレベルで処理が終わってしますこともあります。風邪が流行っても症状なしに治る人がいるのはマクロファージの段階で処理がなされてしまったからなのです。

マクロファージはがん細胞の攻撃などの作用も持っています。リンパ球の働きでがんが自然退縮するときは、患者は発熱などの症状を伴うのですが、たいした症状がないまま、がんが治ってしまう人もいるのはマクロファージの働きによるものです。マクロファージと私たちのからだ全体は同じ動きを起こしていますから、私たちが無理もなく快適に過ごしているときはマクロファージも十分な力を発揮して身を守ってくれている状態ということです。

この他、結核結節、サルコイドーシス、ウェゲナー肉芽腫症なども、感染やストレスによってマクロファージや他の白血球細胞が肉芽腫を形成している病態です。微生物によるストレス、物理的ストレス、科学的ストレス、精神的ストレスが身に降りかかっていることを示しています。ストレスを除きからだを温めることでこの病態から逃れることを知っておきましょう。
管理者からの一言
マクロファージはIPS細胞に似ていますね。筋肉も骨も血管も、もちろん白血球も全てがマクロファージから作られているとは驚きです。 飯山一郎さんは乳酸菌がマクロファージの働きと同じような働きをするとの事、だから免疫力をつけるために、乳酸菌を多く摂取すればいいのだ、と言われる訳が解った感じがします。マクロファージは私たちの心と同調するようですね。だから病を治すには心の持ち方が大事なんですね。人間のからだは細菌やウイルスが支配していると聞いたことがありますが、このようなことなのかもしれませんね。病気のとき、点滴や管で無理やり栄養を入れることの危険とにかく、間違った医療が蔓延っているので、自分の体は自分で守りましょう。勉強するコツをつかめば、自然の仕組みはシンプルなはずなのです。病気は全て医者任せにしないようにしないといけないと思います。

変化したマクロファージ
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リンパマッサージはNPO法人日本メディカルリンパ協会の指導課を卒業しました。(現在は理事長が亡くなり廃校しましたが、現在はリンパ専門サロンとスクール名を変更して、継続しております。http://www.lymph-alice.com/)。
リンパマッサージのオイルは、ひまし油にグリセリンを半々に薄めて使用しています。ひまし油は安定、酸化しにくい油です。ひまし油はエジプト時代では薬にも使われていたようです。リシノレイン酸という脂肪酸が90%含まれていて、プロスタグランジン受容体に結合、皮膚の賦活作用、鎮痛作用、抗感染症などの様々な効能がしられています。酸化しやすいといわれるリノール酸の含有率は5%です、これは、乳幼児によく使用されているホホバオイルと同等の量です。(科学ニュースの森)。更にラベンダーアングスティフォリアとリトセアの精油で化粧水を作成して使用しています。(日本メディカルアロマ協会のアロマ療法http://www.jmaa-aroma.com/)乳幼児にはラベンダーアングスティフォリアとナチュラルモイストジェルを使用します。
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