4.自律神経のはたらき

未来型の医学と新しい可能性〈4〉 自律神経の働き

未来型の医学と新しい可能性〈4〉

自律神経の働き

安保徹

現代医学が多くの病気、特に慢性疾患の成り立ちについて原因不明としている最大原因は、自律神経の働きを軽視しているからだと思います。いくら生理学や病理学でからだの仕組みや病態を把握しても原因にたどり着くのは無理なのです。もちろん、今日盛んに研究されている遺伝子や分子生物学の分野も病気の原因とは直接結びつくことはないと考えます。その理由は、私達が健康を害して病気になる本当の原因は生き方の無理や環境の苛酷さにあるからなのです。

生き方のむりを続けたり過酷な環境で生きた時に、その体調を医学的に理解するためには自律神経の働きを軽視したり、無視して病因論を考えるところに、現代医学がいつまでも慢性疾患の発症原因を不明としている最大の理由があったのです。自律神経は多細胞生物としての生命体をたばねている最も基本的な調節系であります。この理由から新しい未来の医学が始まると言ってもいいでしょう。

1 自律神経とその日内リズム

自律神経系はほとんど例外なく、からだの全ての構成細胞に分布しています。活動を支える交感神経と休息を支える副交感神経の二つから成り、この二つの神経のバランスで色々な体調やそれを支える内部環境を準備しているわけです。交感神経が働くと脈拍の増加、血圧の上昇、血糖の上昇がほぼ同時に起こります。そして、日中の働く体調ができあがるのです。特に、活動を可能にする筋肉に酸素と栄養を送ることが主体です。
一方の副交感神経が働くと脈拍の減少、血圧の下降が起こります。これは休息や睡眠時の体調としてふさわしいわけです。さらに、副交感神経は消化管活動と多くの分泌現象を支配しています。食べ物を口にして後に起こる、消化管の蠕動運動や消化液の分泌、それに続く、消化吸収、排泄がすべて副交感神経支配下にあります。

交感神経線維は脊椎の両側に数珠玉状に存在する交感神経幹から出て血管を取り巻く形で線維を伸ばし、内臓などの諸器官に分布してゆきます。神経末端からはノルアドレナリンが分泌されて末梢血管を収縮をされて、心筋細胞を刺激しています。内臓諸器官の平滑筋細胞や分泌腺細胞に対しては抑制的に働いています。交感神経刺激は同時に副腎髄質に働き、ここからアドレナリンの分泌が誘発され血糖上昇などに関与しています。脳ではドーパミンが使われています。ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミンはカテコールアミンと総称され、ほとんど分子の構造が同じです。

副交感神経は脳幹と仙髄の上下運動に分かれて始まり、脳幹のものは動眼神経(弟3脳神経)、顔面神経(弟7脳神経経)、舌咽神経(弟9脳神経)、迷走神経(弟10脳神経)としてその中に含まれて分布します。特に、迷走神経は長く伸びて胸部と腹部の大部分の器官に分布が広がります。そして、下腹部と骨盤の領域は仙髄からの副交感神経線維が分布しています。上陸を果たした生物は胸部や腹部の諸器官が発達したので、古くから存在した副交感神経は上下に引き離されたのではないかと思います。その後に発展した交感神経は胸腹部の脊椎両側全体に存在しています。副交感神経の末端からはアセチルコリンが分泌され、平滑筋の運動を刺激したり、分泌腺からの分泌物排泄を促しています。

カテコールアミンのうちアドレナリンとノルアドレナリンの血中濃度を測定し、日内変動を明らかにしました(下部の図)。日中にこれらの値は高値を示し、夜間に低置を示しています。このような日内リズムからも、私達は日中活動し交感神経優位となり、夜間は休息や睡眠をとり副交感神経優位となって生活していることがわかります。夜更かしはこのようなカテコールアミンの日内リズムを夜に変位させることになります。また、外国旅行などによって、時差が生じた時は、このリズムに逆らって体に負担をかけることになるので体調不良が生じます。これが時差ボケです。しかし、数日も経つと現地の昼夜のリズムに適応してきます。

日内リズムの他、年内リズムも存在します。夏はリラックスの副交感神経優位の体調で、冬は寒さに耐える交感神経優位の体調になっています。このため、春は自律神経レベルが交感神経優位から副交感神経優位に移る体調になりますし、秋は副交感神経優位から交感神経優位に移る体調です。つまり、自律神経の揺れが起こりやすいのは春と秋の季節となるわけです。

このような大きな季節の変化に加えて、短いスパンで気圧の変化が起こっています。日本の場合は気圧の流れが西から東に向かっていて、高気圧と低気圧が色々な長さで循環してくるわけです。高気圧が交感神経刺激となり元気が出る体調をつくりますし、低気圧が副交感神経刺激となりしょんぼりした体調をつくります。これは空気中の酸素濃度の変化を私達の体が感じ取って起こる現象です。雨や曇りの日が続いて、私達の気持が落ち込む背景にはこのような自律神経の揺さぶりがあることを知っておきましょう。自分の感情のコントロールができやすくなってきます。

2 自律神経反射

自律神経の活動は日内リズムや年のリズムを持ち、大きくゆるやかに変動しているほか、反射反応も存在します。例えば、強い光が目に入った時は副交感神経反射が起こり瞳孔を小さくします。光が入ってくる量を少なくして身を守る反応です。苦い物を食べた時も唾液が出たり、強い場合は吐き出す反応が起こります。これも苦い物を洗い流したり、外に出す反応です。やはり身を守っています。

逆に、恐怖にさらされた時は交感神経反射が起こることもあります。心臓がどきどきして血圧も上昇しています。恐怖に立ち向かったり、その時から逃れるための体調を準備しているわけです。不安にさらされても交感神経反射が起こり顔色が悪くなったり、冷汗が出たりします。これも身を潜めながらも不安に対処しようとしている反応だと思います。自律神経反射を考えると、病気で出る症状の意味も理解できます。

例えば、潰瘍性大腸炎で下痢や腹痛が起こったことを考えてみましょう。下痢は消化管活動の亢進ですから、副交感神経反射です。リラックスを通り越して不快な症状になりますが、身を守る反応に変わりありません。体内に侵入してきた毒物を早く排泄したり、からだの内部で生じた異常物質を早く外に出したりという反応なわけです。また、反射は一時的で体温上昇が伴うということを知っておいてください。下痢が一通り終わるとからだはさっぱりし、痛みも消えます。薬でこのような副交感神経を止めると病気が治る機会が失われてしまうわけです。

副交感神経反射は、長い歴史を持つ東洋医学的治療の謎をも説明してくれます。漢方薬も針灸療法にも広く使われていて、西洋医学主体の医療体制になったにもかかわらず愛用され続けています。この理由を考えてみましょう。漢方薬の基本は苦くて栄養にならないことです。むしろ、苦み物質は多量に摂取すると毒になるものです。このようなからだに不利益なものを薬として少量口にすると排泄されることになります。ここが大切なポイントです。

そもそも多くの患者は生き方の無理や心のつらさを背景とした交感神経緊張状態から病気を発症しています。高血圧、高血糖、高コレステロール、高脂血症などの異常値交感神経症状として表れています。このような患者が漢方薬に対して反応し、副交感神経刺激による排泄反応を起こすことが病気からの脱却につながるわけです。副交感神経反射は排泄反応と共に血圧を下げたり、血糖を下げるようなリラックス反応を伴いますから病気の改善が期待できるわけです。

針治療やお灸などもからだに不利益な刺激を利用して、そこから逃れるための副交感神経反射を誘発する治療行為です。血行が良くなったり、便秘が解消したり、止まっていた分泌現象が元に戻ったり、などの生体反応が起こって病気の改善に役立っているわけです。本来、漢方薬も鍼も灸も交感神経刺激としての力も持っていますからあまり熱心に行うとストレスになって害になることもあり得るわけです。治療家はこの辺を理解して豊富な経験から適切な治療量を選んでいると言えるでしょう。

3 生き方と自律神経レベル

生体リズムや時々のストレスの後に起こる反射などによって、自律神経は揺れ動いています。生き方の偏りが強くない場合は、このようなリズムや反射によって身を守り、動物は生命をつないでいると言うことができます。消化活動を支える副交感神経系が最初に拡大し完成し、脊椎動物に進化して活動が増大してから交感神経も発達し、その後の流れを形成していると思います。特に、動物が上陸を果たしてからはさらに活動が多く複雑になり、自律神経の役割も拡大したのでしょう。

こうしてたどり着いた人間の場合は、自分の意志で生き方を選択する能力が生まれたので、生き方の偏りも生じやすく、自律神経系に負担をかけたりリズムを狂わす事態にまで至ったのです。長時間労働や心の悩みは交感神経緊張をつくり、副交感神経優位になる時間を減少させます。交感神経刺激はエネルギー消費の体調と言い換えることもできますから、疲れが残る、消耗するという体調になり、健康を害してゆくわけです。

自律神経レベルを狂わす原因は、時代と共に変化しているということにも気づく必要があります。寒さ、ひもじさ、肉体的重労働も交感神経緊張をつくりますから、人類の長い歴史の中では、このような問題で健康を害し、病気になっていたでしょう。現代人の自律神経を揺さぶる原因は変化していますし、これからも変化を続けることでしょう。便利から生まれた明るい照明があります。これは現代人を夜更かしにして交感神経緊張をつくっています。また、暑さをしのぐ冷房が交感神経緊張をつくる時代になっていることを知っておきましょう。人間を含めた哺乳動物は感情の変化と自律神経が結び付くわけです。

交感神経は、末梢に枝を伸ばすのと同じように脊髄の方にも繊維を伸ばし、脳の視床下部へつながっています。同様に、脳神経と仙髄からの副交感神経繊維も視床下部に連絡しています。同様に、脳神経と仙髄からの副交感神経繊維も視床下部に連絡しています。

この視床下部がこうして自律神経系の中枢となっていて、からだの端々から求心性繊維に乗って来る情報に従って、今度はこの視床下部から遠心性に交感神経刺激と副交感神経刺激を出しているわけです。

視床下部は感情の中枢である大脳辺縁系によって取り囲まれていて、感情の変化が直接視床下部の自律神経中枢に影響を及ぼすようになっています。このため喜怒哀楽の感情が自律神経レベルを変化させることになります。激しい怒りは交感神経を刺激し、脈拍を上昇させ、血圧を上げ、強い怒りを支えることになります。しかし、こういう状況が長引くとからだに負担を与えることになり心血管系の病気ともつながってくるわけです。逆に、笑いのあるおだやかな感情は副交感神経を優位にして身も心もそれに同調してゆくことになります。

最後に、副交感神経側に偏り過ぎた体調の弱点を述べましょう。穏やかさの極限は無気力や疲れやすさとつながってしまいます。さらに、ストレス耐性が失われる体調でもあります。今の日本のように国が豊かになると、満ち足りた穏やかな生活が保障されこの流れに入って生きる人は拡大します。このような流れで副交感神経に偏った破綻が生まれるわけです。

自律神経の働きを軽視した現代医学や現代医療が病気の成り立ちにたどり着けない理由が理解できたと思います。医師数が増加し、医療費が増大しても、病気の人が癒される流れができてこないのには、このような現状把握が必要ではないでしょうか。
管理者からの一言 
漢方薬や鍼灸が交感神経刺激だったとは、びっくりです。漢方薬も鍼灸も西洋医学と同じく、対症療法であるということですよね。根本治療ではないということですよね。また、漢方薬は苦くて栄養にならない?亜鉛や銅などの微量元素があるとも聞きますが、どうなんでしょうか?私には詳しくは解りません。
東洋医学もほどほどにしないと害にもなるということですね。 とても勉強になりましたが、漢方薬や鍼灸師さんから反論がありそうな感じも受けますが。とりあえず、安保先生の記事をそのまま掲載させていただきました。
我が家の子供たちが痩せようとして、夕方の6時以後は食事をしない事がありましたが、結局続かなかったですね。副交感神経が優位の消化管が働く夜に食事を取らないで、交感神経優位の消化管が働かない昼に食事を取ることは自律神経の昼夜逆転でもあり、これも体にとっては良くないなと思います。夜には家族で食事をたくさん食べて休むのが ベストですね、夜に空腹に耐えるのは辛いです。西先生は朝に食事をとらなければ、夜に食べた食事のカロリーが午前中に消費するので、むしろ太らないとも言っています。それを聞いてから私は夜にたっぷり食べて、朝に食事をとらなくなったら、むしろやせてきました。世間でいう、夜にたくさん食べるなというのは自律神経の働きを考えていない、浅はかな知恵であるなと思いますよ。
今の時代に多い、うつ病や自閉症、更に認知症も副交感神経の偏りが原因のようです。リラックス過ぎるのもよくないようです。ほどほどのストレスも必要です。何でもバランスが大切ですね。 

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リンパマッサージはNPO法人日本メディカルリンパ協会の指導課を卒業しました。(現在は理事長が亡くなり廃校しましたが、現在はリンパ専門サロンとスクール名を変更して、継続しております。http://www.lymph-alice.com/)。
リンパマッサージのオイルは、ひまし油にグリセリンを半々に薄めて使用しています。ひまし油は安定、酸化しにくい油です。ひまし油はエジプト時代では薬にも使われていたようです。リシノレイン酸という脂肪酸が90%含まれていて、プロスタグランジン受容体に結合、皮膚の賦活作用、鎮痛作用、抗感染症などの様々な効能がしられています。酸化しやすいといわれるリノール酸の含有率は5%です、これは、乳幼児によく使用されているホホバオイルと同等の量です。(科学ニュースの森)。更にラベンダーアングスティフォリアとリトセアの精油で化粧水を作成して使用しています。(日本メディカルアロマ協会のアロマ療法http://www.jmaa-aroma.com/)乳幼児にはラベンダーアングスティフォリアとナチュラルモイストジェルを使用します。
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